海棲昆虫。

都市伝説から、音楽、文芸。

『どんぐりず』というバンドが最近キテる。

どんぐりず、というバンドを知っているだろうか?

 

彼らを知らない人たちも多いかと思うが、面白いバンドなので、是非、知っていただきたい。

 

森、チョモランマ、のツーピースバンドだ。

男、二人組だ。

まず、名前が一癖あるのだが、それはバンドの中ではよくあることだ。

さらに、彼らの核となる音楽性といったところも、良い意味で一癖あるといっていいだろう。

まず、その一癖というのは、例えて言うなら、キュウソネコカミのような感じだ。いや、キュウソネコカミをさらに濃くしたような感じだ。

ジャンル分けをするならば、コミックバンドに分類されるだろう。(しかし、最近の彼らのlike a magic はいい意味で、少し真面目であった)

彼らは、自身のコンセプトとして、『歌詞とメロディーが一致しない』ということをあげている。

彼らは、ポップなグルーブを奏でつつ、ユーモラスな歌詞を爽やかに歌い上げる。

そして、そのカッコよさを自分自身で破壊して、笑いを生むという、その姿勢は、シュールレアリストのような芸術家的一面さえ感じる。

 

さらに、彼らは、ライブの途中に漫才をするのだ。

それは、何を言われようと、ぜったいなのだ。

それが、彼らが、彼らたる所以であり、アイデンティティであり、ストロングポイントでもある。

 

彼らのことを、一言でいいきるのはキケロでも不可能と言えるかもしれないが、あえて独断すれば、それは、音楽と笑いの化学反応。

そして、その化学反応は、ヘルメストリスメギストスによる賢者の石の精製を成した、といえよう。

 

とにかく、聞いてくだせぇ、

 

阿部共実【月曜日の友達2】を読んだ感想

2018.2/23発売ということで、速攻で本屋に駆け込んで来ました。

 

読みました!

最高でした!

 

 

月曜日の友達 2 (ビッグコミックス)

月曜日の友達 2 (ビッグコミックス)

 

 

 

二巻で完結するという情報を知り、月野はいったいどうなってしまうのか、気になってしようがありませんでした。

二巻で完結してしまうのが惜しかったのですが、この作品に関してはもうそれで完成しているようで、なんの手の施しようもない素晴らしい作品だと感じました。

本の帯には、朝井リョウさんなど、著名人が帯コメントを書いていて、朝井リョウさんは、「この本の中に閉じ込められている、全てのこと。思い出せなくなる前に、書いてもらえてよかった」と、思い出せなくなる前に、書いてもらえてよかったという、その大事なものがこの本の中には書いてあるとコメントしていて、自分も読後にその意味が少しわかったような気がしました。

 

一巻の感想に、子供の部分がまだ抜けきれていない水谷をカワイイとか言ったり、でもどこかませてるとか、色々喋りました。

しかし、二巻では思春期といういびつな期間に追いやられた水谷の、その大人と子供のはざまを生きる苦悩がなつかしく、そして、美しく描かれていて自分の中学時代を思い出させられました。

ここから感想。ネタバレ含む。

月野のゲーム機をずっと借りたまま返さない火木さんに、月野のことを案じた水谷は正義を振りかざします。

その正義はどこかいびつな正義で、どこか火木さんに嫉妬していた部分があったのだろうと思います。

水谷に説教というか、月野が嫌がっていることを告げられた後の火木さんは、漫画の中では描かれておらず、火木さんはその後、何もなかったかのように振舞いますが、ものすごく、ものすごく、辛かっただろうと思います。

だって、死んだ兄貴を、大好きだった兄貴を侮辱されたのですから。

水谷は、火木さんの非を責めるに留まらず、火木さんの兄貴まで侮辱してしまったのです。

水谷は完全に自分の主観で火木さんを完全な悪だと見做してしまいます。

火木さんの本心を何も知らずに。

火木さんを主体にして、その後の火木さんを漫画で書いたのなら、阿部共実さん節というか、鬱な部分が描かれるんだろうな、とか思います。

水谷の月野に対する、利他的行動は、善なる行為ではなく、利己心を多分に含んだ、いびつな正義であった思います。

良い行いではなかったと思います。

そこの部分が、昔の自分とも重なり、一番にグッときました。

 

全部語るのはやめておきます。

すごい展開になるので...

ぜひ、自分で買って読んでみてください。

 

あと最後にここに書いておきたいことがあったのですが、それものちに重要な部分になってくるので、ここでは言わないことにしておきます。

 

 

 

最高でした。

もし地球がこなごなになったら、死ぬまでのあいだ宇宙を漂えるのか?とか考える、哺乳類科人目。

部屋にいても体を持て余すので、外に出て散歩することにした。

日の暮れた町は、車だけがやたらに走っていて、歩いている人間といえば筆者くらいしかいない。うるさい人間がいなくて心地よい反面、寒い。寒いのである。

脇道にそれると、人も車も姿を消して、目に付くのは人の住んでいない家と、人の住んでいるであろう家だけ。

静寂が筆者の周りを取り囲み、外気温の低下に伴う体温の低下という物理現象が襲う。こんなに日にはいろいろと考えてしまう。ただでさえ人間はいろんなことを考えるだろう、それは学友関係であったり、職場の人間関係、受験だったり、などなど。

しかし、こんなさみしい日にはいろいろ考える。しかも、先ほど読んだ本が「地球内部からの円盤」という地球空洞説を唱えた本だったら、さらにいろいろ考えてしまう。

それはくしくも破滅的思想であるといえる。ノストラダムスが良い例である。

今の現代にも破滅的、終末的思想は絶えず、それは人間(とくに若者)の活動エネルギーを奪う考えになっていると思う。終末的思想と言えば大げさだか、自分の近い将来が社畜として一生好きでもない仕事をして生きていかなければならいとしたら、未来に対して楽観的になれるだろうか。

さらに今の現代社会は個人で意見を発信できる。それは性の氾濫であったり、思想の氾濫であったりする。そんな世の中を生きてゆこうではないか。

 

 

阿部共実「空が灰色だから」を読んだ感想

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こちらですね。

中古で一冊、百円でした。

 

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一巻の初版発行が平成24年なので、いまさらという感じですが、せっくなので読んだ感想を書いていきます。

 

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上の画像は一巻の裏表紙です。

そこには、あらすじとしてこう書いてあります。

「10代女子を中心に、人々のうまくいかない日常を描くオムニバスショート。

コメディか、ホラーか、背徳か、純真か、説明不能の心がざわつく思春期コミック誕生。」と。

これはまさにこの漫画を言い切っていると言っても過言では無いと思います。

そうです、可愛らしいくて、コミカルな絵なのに内容が凄く残酷だったりします。

だったりします、というのは残酷もあれば単純にほっこりするような回もあるのです。そのギャップがまた残酷を一層際立たせることにもなるのですが。

 

なので、絵にだまされてはいけません。

学生の方には特に注意して読んでいただきたいです。裏表紙にも書いてあったように、10代の思春期を中心に描かれているので、イジメや、自意識過剰だったり、クラスに馴染めない学生だったりがたくさん出てくるので、中には気が病んでしまう人もいるかもしれません。

そして、一度読んだら読む前の自分には戻れないので注意ですね。

 

じぁ、どれだけ残酷なのかということを語る上で、まず山野一さんの「四丁目の夕日」という漫画を紹介します。

 

 

 

 この「四丁目の夕日」という漫画は、あまりにも残酷的で、非情なあまり閲覧注意と呼ばれるほどです。

本当に危険な漫画です。この漫画は紹介しないので気になる人は買って読んでみてください。

先に言っておくと、「空が灰色だから」も残酷ですが、「四丁目の夕日」はもっとエグいです。

「四丁目の夕日」は一種のテロリズムのようです。

「四丁目の夕日」の解説には、「絶望的楽観者の山野一本人は時に何も考えてないように見えることがあるが、勿論彼が本当に何も考えがないわけではない。山野一は、この世の中のおおよそのことは、突き詰めれば、どうでもいいことだし、もっと突き詰めれば自分が、人間が、地球が、そして宇宙までもが壮大なムダにすぎないことだと達観しているに違いない。」とあります。

自分的には、これは阿部共実さんにも言えることで、両者ともに言えることは、何らかの形でこの現実に絶望していたり、割り切った考えを持っていないと、この残酷さは表現出来ないということです。

さらに言えば、山野一さんの残酷さは前述したようにテロリズム的で、それに対して阿部共実さんの残酷さは、絵も相まって、人間の心理的な暴力性が非常に繊細に描かれているように感じました。

 

そんな感じですね...。

良くも悪くもページを繰る手が止まらないという感じです。

 

 

 















浅野いにお 『零落』 読んだ感想

2017年 10月30日 浅野いにおさんの『零落』が発売されました。

 

早速読んだので感想を書いていきます。

 

注意!
多少のネタバレ含みます。

 

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今回の『零落』ですが、私小説的な漫画という印象を受けました。

 

主人公は、深澤という、中堅漫画家です。年齢は、推定40代といったところでしょうか。

深澤は、漫画家としてある程度の地位を築き上げ、結婚もしているのですが、どこか暗いのです。終始、暗いのです。

なぜなら、40代にして、その築き上げた地位が零落し始めたからです。

そんな彼の暗い生活が続いてゆきます。

 

あらすじは、こんなところです。

 

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『零落』を読んでいると、自然と深澤の姿が、作者の浅野いにおさんと重なってきました。それは、僕の自意識過剰ではなくて、この漫画の作風に由来するものだと感じます。

 

まぁ、あとは単純に背景が綺麗ですよね。綺麗といっても、ただの街並みなんですけどね。

浅野いにおの漫画を読んでいると、こんな街に住んでみたいな、とか思ったりします。

 

面白いなと思ったところは、深澤がTwitterエゴサーチをしていると、「深澤作品は総じて自意識過剰な中学生のポエム集といった印象。自己陶酔はほどほどにして、漫画を一から見つめなおしていただきたいですね。」というツイートがあり、深澤がノートパソコンをブーメランのように持って、壁に投げつけてしまうシーンです。こんなこと言うのは、あれですけど、この揶揄って、浅野いにおアンチの常套句的な散文ですよねw  やはり深澤と作者のリンクは所々見られます。

 

気になった言葉は、「あなたは誰かを傷つけ続ける。死ぬまでひとりぼっち。だって先輩はこの世の中で、漫画家が一番偉いと思っているから。」

これは、深澤が昔の女に言われた言葉です。

革新的な人物や成功者で、人を傷つけずに成功を収めるような事例が僕にはよくわからないので、この言葉にはすごく共感します。

浅野いにおさんは、前述したように「安いポエムみたい」や「厨二病」などと揶揄されがちですが、僕は言葉選びや、センスがあると言うべきだと思います。

なぜなら、たまに出てくる一言、一言が妙に共感するので。

おざなりくんをオススメします!

言葉のセンスが輝いているので。

 

もう一つ気になった言葉は、「それに俺は漫画を作ることを、一生死ぬまで向き合う価値のある仕事と信じ込んでたからな」

自分的には、この言葉で、深澤のニヒリスムが理解できました。

 

この漫画、深澤があまりにかわいそうになってくるので、「漫画、もうやめてもいいんだよ...」と思わず声をかけてやりたくなる程です。

 

あまり漫画評論家のように分析することは、これ以上避けようと思います。

だって、この『零落』に独自の漫画論を熱く語る人が何人も揶揄されているのに、何にも知らない素人が、この漫画を読んだ後に、分かりきったような感想をベラベラ垂れるのは、もう限界だからです。

 

それでも、つい熱くなって、感想をベラベラ述べてしまいました。

それくらい議論したくなるような、面白い作品だと思います。

オススメです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




諸星大二郎 BOX〜箱の中に何かいる〜 読んだ感想

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BOX~箱の中に何かいる~とは、諸星大二郎先生の作品です。

 

差出人不明で届いた「パズル」とチケットに導かれるように、奇妙な四角い館に集まった7人の人間がいました。

 

興味本位で来たという謎の女も加わり、中に入った彼らを待ち受けていたのは人形のような美少女と、想像を絶する迷宮。

 

パズルを解かなければ出られないというその謎のチャレンジを、7人は遂行していきます。

 

解けば、体の一部が消えるその驚きのパズルに戸惑う7人。

彼らは脱出できるのか? そして「招待主」は何者なのか?

 

幻想漫画の巨匠が仕掛ける状況限定(ソリッド・シチュエーション)型サバイバルホラーが今始まります。

 

そんなBOX~箱の中に何かいる~は、ミステリーサスペンスが好きな人や、諸星先生の作品が好きな人には文句なしにおすすめの作品となっております。

 

詳しくはこちらのサイトに行ってみてください。BOX~箱の中に何かいる~の濃いネタバレ(1巻後半)あらすじや感想も!無料 | Comic Shelf

 

諸星大二郎さんの作品を初めて読んだのですが、絵のタッチが独特で、どこか昔の漫画を感じさせます。

 

そして、基本的にこの漫画、謎に包まれています。その謎さ加減に、どんどん引き込まれていきます。

 

ページを繰る手が止まらないので、

「お母さん!ページを繰る手が止まらなよ!」

お母さんに言ったら、「あなたの手は繰るのをやめて、少しはお勉強したらどうなの!」と言ってきたので、僕は我慢出来ずに、「わかった。それなら、これを読んでみて!」と言いました。

そして、しぶしぶお母さんはBOXを読んだのですが、「これは面白いから、お母さんにちょうだいね」と言って、それ以来、帰ってきません。

それくらい面白いということです。

 

是非是非、かってみては〜。

3巻完結です。。

 

 




俵万智【短歌のレシピ】に学ぶ初心者向け短歌テクニックまとめてみた

今回は短歌のテクニックや上達法について語っていきたいと思います。

 

しかし、当の筆者も短歌の勉強を始めてから三ヶ月も経っていない素人なので、今回は俵万智さんの著作の【短歌のレシピ】という本を参考にしていきます。

 

【短歌のレシピ】には、いわば短歌の調理法や調理テクニックが満載です。

 

なので、今回のブログは、俵万智さんの本を参考に短歌の上達法をまとめていき、読者の方はもちろん、素人の筆者も記事をまとめることによって、短歌をより理解していく、という短歌初心者向けのブログとなっております。

 

こちらが今回紹介するテクニック

  1. 比喩の出し方に気をつける 

  2. くどすぎてはダメ

  3. 短歌は理屈じゃない

  4. 倒置法の利点

 

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 1.比喩の出し方に気をつける

まず、短歌において比喩は、うまくいけばそれだけで素晴らしい一首を成立させるものです。
なので、いい比喩を思いついたら、できるだけ丁寧に、それを生かせるかが肝です。
比喩以外の言葉は、全てその比喩が効果的に、生き生きと見えるように、それだけを考えて奉仕させる、そのぐらいの意気込みが必要です。
さらに、比喩には直喩と暗喩がある。
直喩は、「太陽のような人」「月のような心」
暗喩は、「鋼の精神」 「月の心」
となります。
すると、暗喩の方が、「ような」を取り除くことになるので、三文字節約できる。
さらに、暗喩の方が強く言い切ることも可能です。

 

 

 2.くどすぎてはダメ

これは、筆者が【短歌のレシピ】を読んで、一番重要かつ、気をつけなければならないと、思った箇所です。

 

短歌では、感じたこと、思ったことを的確に伝えることは大切だけど、言い過ぎてしまうと逆効果になることがある。
「そこまで言われなくても、じゅうぶんわかるけど」
「はいはい、そうだったんですね、そうだったんですね。ごちそうさま」
こんな感想しか残らないことになります。

 

つまり、だめ押しは、言葉足らずと同じくらいマイナスな表現だ、ということです。

 

例えば、「夕焼けにあなたと歩いた幸せは桜を見ればふと思い出す」という歌があったします。
すると、上の句の最後の「幸せ」という部分は言わなくても、「夕焼けにあなたと歩いた」で幸せは十分伝わるかと思います。
なので、「幸せ」という語は、その状況をただ説明しているに過ぎず、言わずもがななのです。蛇足なのです。
筆者が個人的に感じたのは、俳句にしろ、短歌にしろ、言わずもがなな語は省かなければならないということです。(リフレインなどの技法は除く)

 

 3.短歌は理屈じゃない

「こうだから、こうなった」「こうなので、こうなんです」というような理屈を、一首のなかで展開されると、読者は「ああそうなんですか」としか思えず、それ以上、その歌の世界に入り込むことが難しい。

 

これは、上で書いた「くどすぎてはダメ」にも繋がることかと思います。
なので、一首のなかで、「のに」「だから」「よって」などの助詞は組み込んではいけないということですね。(短歌に、『よって』という助詞はあまり使わないかと思いますが)

 

説明的になってしまうと、読者が想像を広げられなくなってしまいます。

 

 4.倒置法の利点

最後に倒置法の利点ですが、これは比較的簡単なテクニックかと思います。

 

まず、倒置法についてですが、普通の語順なら「青い空は美しい」という文を、「美しい、青い空は」とひっくり返すテクニックです。

 

なので、まず一度、短歌が出来たら、これが本当に一番良い語順なのかということを一度確認します。その次に、倒置法を試してみます。しかし、倒置法は全部が全部、倒置法をしてもいいというものでもないので、気をつけないと逆効果になってしまいます。
 

 

四つほどテクニックを紹介しましたが、【短歌のレシピ】には、まだここでは紹介していない短歌レシピがあるので、また機会があったら、紹介できたらなと思います。

 

もちろん、俵万智さんの文章を引用した所も何箇所かありますが、基本は筆者の文章なので、わかりずらかった方は、本を購入するのをオススメします。

 

したに、Amazonのリンクを貼っておきますね〜。