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【石川啄木の厳選短歌集 】不幸な文豪の一生

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石川啄木 - Wikipedia

 

石川 啄木(いしかわ たくぼく)
1886年明治19年)2月20日 - 1912年(明治45年)4月13日)

 

石川啄木は短歌でとても有名な日本を代表する作家です。
その短歌は、学校の教科書にも掲載されている程です。

 

代表歌には、

 

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心

 

やはらかに柳あをめる北上の
岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに

 

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ

 

いのちなき砂の悲しさよさらさらと
握れば指の
あひだより落つ

 

ふるさとの訛(なまり)なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴きにゆく

 

浅草の凌雲閣のいただきに
腕組みし日の
長き日記(にき)かな

 

軍人になると言ひ出して、
父母に苦労させたる
昔の我かな。

 

こんなところでしょうか。

 

 

 

さらに読みたければ、こちらをどうぞ💁

 

書籍を買うのも良いですけど、石川啄木の作品群は著作権切れしているので、インターネットで無料で読むことが可能です。

青空文庫 Aozora Bunko

 

 

石川啄木(本名、石川一)というと、短歌で有名ですが、実はかなり波乱に満ちた不幸な人生を送った作家です。僕が思うに、かの太宰治を超える不幸な作家かと思います。
その石川啄木の悲惨な人生をご覧あれ。

 

 

 

石川啄木の悲しい年表

  1. 少年時代

岩手県岩手郡日戸村に生まれる。

四人兄弟の唯一の男として生まれたため、一家の期待を一身に受け、兄弟で一人だけ優遇される。そのため、時に見栄坊なところがあった。

こんな話がある。

ある冬の寒い夜に、まだ小学生であった石川啄木は、「母さん、おなかへったよ」と夜中に騒ぎ立て、「ゆべしまんじゅうがほしい」と言い出した。

昔のことなので、食料は貴重ですし、ましてや夜中です。

しかし、父親は「ゆべしまんじゅうを作ってやれ」と言い、母親はゆべしまんじゅうを作ってしまいます。

それを見ていた姉達は、さすがに引いた、という石川啄木の優遇話です。

しかし、勉強のできた石川啄木は、村では神童と称されます。

この頃の石川啄木は、身長は低く、おでこがとがっていて、糸切り歯が見え、笑うと右頬にえくぼができるかわいい少年でした。

 

  2.中学時代

中学時代から文学を志した石川啄木は、なんと中学を退学します。

理由は東京に出ようと決めたからです。石川家には経済的余裕がなく、上級進学が不可能だと知っていた石川啄木は、自らの文筆で身を立てる決意をしたのでした。

 

  3.青春の挫折

友人のところを回って金を集めた石川啄木は、岩手県を去り、東京は小石川の大館みつ方に下宿します。

そして、東京に着いた石川啄木与謝野晶子邸を訪問します。石川啄木は自分の文学論を熱心に語っていると、なんと、その与謝野晶子の夫から「君の歌は奔放すぎる」とダメ出しされます。

それから、石川啄木は神田で本を買い漁り、バイロンテニスンロングフェローワーズワース、などの詩集を読みます。時には、一日中読んだそうです。

そんな生活に金が尽きた石川啄木は、職を探します。すると、都合よく友人が、金港堂という雑誌社の佐々醒雪という編集長と知り合いで、金港堂の編集員として、紹介状を書いてくれました。

金のない石川啄木は、飛んで行きました。しかし、編集長の佐々醒雪さんは、面会すら受けあってくれませんでした。

実は、これには深いわけがありました。

というのも、石川啄木は盛岡中学時代に、岩手日報に佐々醒雪さんを、「没見識」「胆の小さい人」と批判していたからです。

自ら批判をした人物の会社を訪ねるほど切羽詰まっていたようです。

 

  4.「あこがれ」刊行

1905年に処女詩集「あこがれ」を刊行。そして、堀合節子さんと結婚。

 

  5.オホーツク放浪

石川啄木は妻を岩手に残し、北海道に向かいます。

北海道では、借金を重ねてしまいます。

しかし、北海道の情景、見慣れない地での葛藤は自作の糧となって行きます。

 

  6.再び東京

「一握りの砂」を刊行。生活を食う独自の文体と、三行書きという形式は、当時としては革新的でした。

 

そして、衰弱の果て、二十六年の人生に幕を閉じた石川啄木

亡くなって、死後作、「悲しき玩具」が刊行されます。

 

 

 

詳しくはこちらから。

 

 

最後に、何種か紹介します。

 

馬鈴薯の薄紫の花に降る
雨を思へり
都の雨に

 

砂山の裾によこたはる流木に
辺りを見まはし
物言ひてみる

 

浅草の夜のにぎはひに
まぎれ入り
まぎれ出て来しさびしき心

 

まれにある
この平なら心には
時計の鳴るもおもしろく聴く

 

何やらむ
穏やかならぬ目付きして
鶴嘴を打つ群を見ている

 

かなしきは
喉のかわきをこらへつつ
夜寒の夜具にちぢこまる時

 

水晶の玉をよろこびもてあそぶ
わがこの心
何の心ぞ

 

あたらしき心もとめて
名も知らぬ
街など今日もさまよひて来ぬ