海棲昆虫。

都市伝説から、音楽、文芸。

阿部共実「空が灰色だから」を読んだ感想

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こちらですね。

中古で一冊、百円でした。

 

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一巻の初版発行が平成24年なので、いまさらという感じですが、せっくなので読んだ感想を書いていきます。

 

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上の画像は一巻の裏表紙です。

そこには、あらすじとしてこう書いてあります。

「10代女子を中心に、人々のうまくいかない日常を描くオムニバスショート。

コメディか、ホラーか、背徳か、純真か、説明不能の心がざわつく思春期コミック誕生。」と。

これはまさにこの漫画を言い切っていると言っても過言では無いと思います。

そうです、可愛らしいくて、コミカルな絵なのに内容が凄く残酷だったりします。

だったりします、というのは残酷もあれば単純にほっこりするような回もあるのです。そのギャップがまた残酷を一層際立たせることにもなるのですが。

 

なので、絵にだまされてはいけません。

学生の方には特に注意して読んでいただきたいです。裏表紙にも書いてあったように、10代の思春期を中心に描かれているので、イジメや、自意識過剰だったり、クラスに馴染めない学生だったりがたくさん出てくるので、中には気が病んでしまう人もいるかもしれません。

そして、一度読んだら読む前の自分には戻れないので注意ですね。

 

じぁ、どれだけ残酷なのかということを語る上で、まず山野一さんの「四丁目の夕日」という漫画を紹介します。

 

 

 

 この「四丁目の夕日」という漫画は、あまりにも残酷的で、非情なあまり閲覧注意と呼ばれるほどです。

本当に危険な漫画です。この漫画は紹介しないので気になる人は買って読んでみてください。

先に言っておくと、「空が灰色だから」も残酷ですが、「四丁目の夕日」はもっとエグいです。

「四丁目の夕日」は一種のテロリズムのようです。

「四丁目の夕日」の解説には、「絶望的楽観者の山野一本人は時に何も考えてないように見えることがあるが、勿論彼が本当に何も考えがないわけではない。山野一は、この世の中のおおよそのことは、突き詰めれば、どうでもいいことだし、もっと突き詰めれば自分が、人間が、地球が、そして宇宙までもが壮大なムダにすぎないことだと達観しているに違いない。」とあります。

自分的には、これは阿部共実さんにも言えることで、両者ともに言えることは、何らかの形でこの現実に絶望していたり、割り切った考えを持っていないと、この残酷さは表現出来ないということです。

さらに言えば、山野一さんの残酷さは前述したようにテロリズム的で、それに対して阿部共実さんの残酷さは、絵も相まって、人間の心理的な暴力性が非常に繊細に描かれているように感じました。

 

そんな感じですね...。

良くも悪くもページを繰る手が止まらないという感じです。